望郷 李明淑先生

望郷
中谷省三先生 本の挿絵

 

他人があるく一歩の道を

あなたは百歩かかってあるいていった。

灼けつく陽ざしが

したたりおちる汗を吸い上げていく

それでもたちどまることを知らない

かあさんのリアカアが

あるいていく

つまずき のめり あるいた

この土よ

いちにちいちまいではなく

いちにちにまいのはやさで

いのちがあなたの中から

虚空たかく消えていくのを

みつめていたかあさんの目

あなたが引きずりあるいたリアカアの

車輪のあとにぬりこめられた

かあさんの目よ

わたしはかあさんの目からおちたしずくが

あたたかい靄となってたちこめるみちを

濡れてあるいてみよう

かあさんの土と血と

血と土のたちきれないつながりにむせながら

もつれた糸の痛みをふりほどいてみるために

 

「リアカア」より抜粋

 

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李明淑先生の望郷 この本を読み直しました。

韓国から日本に移り住み、お母様の過酷な日々を描かれた詩

今までに読んだ本の中で 一番心に残ったものです。

 

詩人の李明淑先生は中谷先生と仲良しでいらして、

2年前に 一緒に韓国に行かせて頂いたことがあります。

韓国語は全部忘れてしまったとおっしゃていましたが、

安東につき、少し時間がたつと自然と会話されていました。

身体が覚えていたみたいねと。

 

久しぶりにお会いして

80歳を超えてもとっても可愛らしくお元気なご様子でした

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